Monday, October 20, 2008

山へ行きたい

腰椎の圧迫骨折が治らない。もう1年半になる。原因は些細なこと(マッサージ)だから、治るのも簡単だとはじめは考えていた。虎の門へ入院、ブ ロックを2回して、少しは軽くなったが、以前痛みはとれない。屋内杖をついてやっと、そとは70m歩くのがせいぜい。診療は1日に2時間に短縮した。テニ スはもちろん、散歩も買い物もできない、暇をもてあましている。新聞、テレビと読書の毎日である。
△新聞。2紙をとっているが、1面から3面記事まで、かなりていねいに読んでも、朝刊で30分、夕刊で15分。
△ テレビ。ニュースは1日何回も見る。他は特別の番組がない限り、スポーツだけ。サッカー、ラグビー、テニス、高校野球、ゴルフ等なんでもみるが、毎日ある わけではない。国際試合、Jリーグは必ず見る、夜中でも。今のサッカーは、ものすごくレベルが上がっていて、高校でも昔のインターハイよりはるかにうま い。
サッカーでは忘れられない思い出がある。大学1年の時、グルッペ対抗が午前中に行われ、前半の終わりにふくらはぎを蹴られた。痛くてたまらない、FWからキーパーに代わって、後半をすませ、整形外科に行って見てもらった。X線も撮らずに骨はOBと。午後の授業の終わるまで我慢したが、痛みは変わらない。再び整形外科へ。X線で腓骨々折。結局2週間学校を休んだ。
△読書。このところ、山の本をよく読む。平凡社ライブラリーで、ウェストン、田部重治、小島雨水、冠松二郎、松方三郎、槇有恒等々、日本山岳会創立の頃の 人々のもの。その他、文庫や新書から、「山の旅」「山を楽しむ(田部井)等。地図(20万分の1)と照らし合わせながら読むので、実際に歩いている気持ち になれる。かくて百名山から南北アルプス、北海道、九州までくまなく歩いてる。
 小説は、主に短編。永井龍男、中村敦、小沼丹、水上勉、三浦哲朗、古井由吉等。(床へ入っての読書が楽しみなので、ほとんどが文庫。)このところ健忘症が進んだのか、5年前に読んだものも、ディテールはむろん、プロットまで忘れている。読むものがない時は、手当たり次第本棚から抜き出して読む。鴎外、漱石、井伏鱒二から推理小説まで。芥川賞は、石川達三の「蒼氓」以来、欠かさず付き合ってきたが、最近はごぶさたしている。19才の女の子の書いたもの等ぜんぜん読む気がしない。長編はあまり読まない。はじめの5,60貢の辛抱をする根気がなくなった。サマセット・モームの「世界十大小説」を覗いたら、二つ読んでいない。あと10年のうちにこれは、何とか征服したい。
 それにしても、この年まで生きるとは、若い時は夢にも思ってみなかった。そして後がなお10年。散歩も買物もできないのは、とにかく辛い。とにかくもう少しよくなりたい。
そして、上高地へ行き河童橋の上に立って、穂高を仰ぎ見るのが、今の夢である。
--祖父 クラス会への投稿文

10月の3連休、東京で祖父の納骨を無事終えました。
97歳まで生きてくれた読書の大好きな自慢の祖父でした。
95歳に脳梗塞で倒れる直前まで患者さんを診ていました。
東京を離れていた私たちは会う機会も年に2回ほど。
静かな祖父で家族にはあまり辛いとは言わず、
本棚には老いを楽しむ等の本も置いてあったので、
こんな風に思ってると思いもしなかった。
当たり前なんだけど、辛かったんだな。
植物状態で2年。
その間は今まで行けなかった分、出来る限りお見舞いに行った。
話しかけると、何を言ってるかは分からず、遠い意識の中から
大きな声で応えてくれた。
ただただ、おじいちゃんが喋れた時にもっと色んな話を聞きたかった。
今度穂高に行った時はお祖父ちゃんの為に穂高の写真を撮って
お供えしてあげよう。
心よりご冥福をお祈りします。
おじいちゃんありがとう。






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